遺産分割協議書の作成
まず前提として、遺産分割協議とは、共有状態にある遺産を、各相続人の単独所有に分割する話し合いのことを言います。
すなわち、まず、相続人が複数いる場合、遺産は、各相続人で共有することになります(民法898条)。
そうすると、例えば、遺産が、不動産(価額:1000万円)、預貯金1000万円で、相続人が2人の場合、遺産分割協議前は、不動産・預貯金について、それぞれ2分の1ずつの持分をもっている状態になります。
しかし、この財産の共有状態というのは、いささか面倒なもので、例えば、処分するには、共有者、すなわち相続人全員の同意がないといけない(251条)、などといったように、財産の保有状態としては、決してラクではないのです。
そこで、この遺産の共有状態を、各相続人の単独所有に変更するのが、遺産分割協議です。これによって、自分の相続分にあった財産を単独所有できるようになるので、自由に処分可能になるなど、ラクになります。
そして、遺産分割協議は、相続人全員で行い、合意する必要があります。このとき、法律上は、遺産分割協議書を作成する義務はないため、口頭による協議の合意も有効ではありますが、後々の紛争防止や、権利移転手続のためにも、遺産分割協議書を作成することが必要であると言えます。
すなわち、口頭での合意では、後にその内容で紛争が発生した場合、合意した証拠がないため、紛争に発展する可能性は高くあります。それを防止する観点からも、協議書を作成して、証拠を残すことは大事です。また、遺産の共有状態から、遺産分割協議によってある財産(例えば、預貯金)が単独所有財産になったとしましょう。このとき、遺産分割協議によって、単独所有になったことを証明できなければ、権利行使できません(預貯金でいえば、おろせない)。この観点からも、遺産分割協議書の作成が必要になります。
遺産分割協議書の作成の際には、①具体的に遺産を特定すること(不動産であれば、登記簿通りの所在地等を記載、預貯金であれば、銀行名、支店名、預貯金の種別、口座番号等を記載)、②相続人全員の署名捺印をすること、が注意点となります。
司法書士行政書士さとう法務事務所では、相続に関する様々な業務を取り扱っております。横浜市都筑区、横浜市港北区、横浜市青葉区、横浜市緑区、川崎市宮前区を中心に、神奈川県でご相談を承っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。豊富な知識と経験からご相談者様に最適な解決方法をご提案させていただきます。