遺贈とは
遺贈とは、わかりやすく言うと亡くなった方が遺言によって相続人や相続人以外の人に財産を引き継がせることをいいます。
相続であれば、法律で定められた法定相続人に当てはまる立場の方が財産を引き継ぐことが原則ですが、遺贈であれば法定相続人でなくても引き継ぐことができることに大きな違いがあります。
■包括遺贈と特定遺贈
遺贈は、引き継ぐ財産の範囲によって2種類に分けられます。
包括遺贈は、財産の内容を指定せずに行う遺贈です。この場合、プラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も引き継がれますので、注意が必要です。
特定遺贈は、財産の内容を指定して行う遺贈です。この場合には、包括遺贈とは異なり財産の内容が明確に指定されるため、マイナスの財産も引き継いでしまう等の事態は起こりません。
■生前贈与との違い
遺贈は、被相続人が亡くなってから財産が移転し、相続税の対象となります。
そして生前贈与は、被相続人が亡くなる前に財産を移転させるものであり、贈与税の対象となります。
この生前贈与を計画的に用いることで課税されずに贈与を行うことができます。これを、暦年贈与といいます。
暦年贈与とは、基礎控除枠を利用して贈与税が課税されないように、生前遺贈を行うことをいいます。
通常、贈与を行った際には贈与税がかかりますが、年間110万円を超えない贈与については基礎控除枠に当てはまるために、課税がされません。
例えば、受遺者に1000万円の遺贈を予定している場合、一括で贈与を行うと基礎控除を超える贈与として課税対象となります。
そこで、毎年110万円ずつ受遺者へ贈与を行えば、通常課税される1000万円分の贈与税はかかりません。
加えて、毎年の贈与によって遺産自体も減らすことができるため、相続税対策としても有効となります。
ただし、暦年贈与については何年かに分割して贈与していても数年分をまとめて「一括贈与」とみなされるケースがあるため、注意が必要です。
■遺留分の侵害に注意
遺贈を行う際には、遺贈する財産が他の相続人の遺留分を侵害していないかを確認する必要があります。
遺留分とは、被相続人がその財産のうちで一定の相続人のために必ず残さなければならない財産額の事を指します。
例えば、被相続人が特定の相続人に「全財産を相続させる」旨の遺言を残した場合であっても、各相続人には遺留分として最低限の相続分が保障されているために、「全財産を相続させる」旨の遺言であっても遺留分を侵害することは許されません。
そして、遺留分を超えた遺贈がなされた場合には、相続人から財産の返還を請求される(遺留分侵害額請求)可能性があります。
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